2010年にJAL株を持っていたら?0円になった100%減資の仕組み
・ 確認 ・ 100万円で買ったら
この記事は、動画の台本や公開資料をもとにAIが下書きし、運営者が公開前に確認・編集しています。主張ごとの出典と、その出典の格(一次・二次・三次)を記事ごとに書いています。
この記事は、過去の株価と決算の記録にもとづく思考実験で、特定の銘柄の売買や回避を勧めるものではありません。過去の実績は、将来の成果を保証するものではありません。投資の判断は、ご自身の責任で行ってください。運営者は、資格を持つ金融の専門家ではありません。
JALは2012年に再上場しました。それなのに、2010年に株を持っていた人の株は、なぜ0円のままなのか。この記事は、その仕組みを整理します。
中心は「100%減資」です。上場廃止と減資は、同じ出来事ではありません。株価の予想や、売買の話はしません。
先に結論
- 2010年2月20日の上場廃止の時点では、株は消えていなかった。株が消えたのは、2010年12月1日の100%減資
- 100%減資は、更生計画に基づく。国土交通省の資料は、更生3社の合併後に、既存株主の全株式を無償で取得して消却した、と書く
- 同じ資料は、2010年3月末の債務超過を9,592億円とし、金融機関も一般更生債権の87.5%(5,215億円)を放棄した、と書く。株主だけでなく、債権者も大きく権利を失った
- 再上場した2012年のJALの株は、減資のあとに出された新しい株。消えた株が戻ったのではない
計算の前提
この記事には、株価を使った計算はありません。動画の「100万円」は、仮定の話です。
- 2009年に100万円ぶんのJAL株を買い、売らずに持ち続けた、という仮定です。当時の株価は資料で確かめていないので、買った株数や金額は出しません
- 買値がいくらでも、100%減資で株が消えれば結果は同じ、という意味で「0円」と言っています
- 手数料・税金は考えていません。税の扱い(損失の申告など)には触れません
- 分割・併合の話はありません。配当も扱いません
- 基準の日付は、2010年1月19日(更生手続の申立て)から2012年9月19日(再上場)までの出来事です
上場廃止と、株が消えることは別
日本航空は2010年1月19日、東京地方裁判所に会社更生手続の開始を申し立てました(大和総研)。東京証券取引所は同じ日に、株を整理銘柄にして上場廃止にすると決めています。最終売買日は2月19日、上場廃止は翌2月20日でした。申立てから最終売買日まで、ちょうど1か月です。
ここで、よく混ざるところがあります。上場廃止になると、株が取引所で売買できなくなります。でも、株そのものが無くなるわけではありません。
JAL自身が2010年2月17日に出した告知は、次のように書いています。上場廃止のあとも、株券は発行しない。株は、当面のあいだ証券保管振替機構での取扱いが続き、証券会社などで手続きできる。つまり、上場廃止の日の時点では、株主はまだ株を持っています。
12月1日、100%減資で株が消えた
2010年11月30日に、東京地方裁判所が日本航空の更生計画を認可しました。その翌日の12月1日に、株式や債権などの権利変更が実施されています(国土交通省の資料)。内容は、同じ資料によると次のとおりです。
- 当時の日本航空の資本金2,510億円は、100%減資
- 企業再生支援機構が3,500億円を出資(1億7,500万株、1株2,000円)
- 金融機関が、総額5,215億円の債権放棄を実施(債権放棄割合87.5%)
株が消える仕組みは、同じ国土交通省の資料に書かれています。更生3社(JALS、JALI、JLC)を、認可決定日の翌日に合併してJALIを存続会社とし、合併のあと、既存株主の全株式(普通株式とA種優先株式)を無償で取得して消却する、というものです。ja版Wikipediaの「日本航空」の項目も、合併で旧株主に渡された株をすぐ無償で取得し、全自己株式を消却して100%減資した、と書いています。
この方針は、前から示されていました。企業再生支援機構は、支援決定を発表した2010年1月19日の文書で、JALSの普通株式とA種株式について、「いわゆる100%減資を含む抜本的な株主責任を果たす措置を講じる方針」と書き、最終的には今後の更生計画で決定する、としています。
なぜ、会社が残っても株主は0円になるのか
ここが一番の問いだと思います。会社は再生して残ったのに、なぜ株主の株だけが消えたのか。
まず、「株主の順位が最後だから、自動的に0円になった」とは言えません。会社更生法(e-Govの現行条文)は、次のことを定めているだけだからです。
- 更生計画には、全部または一部の更生債権者等や株主の権利の変更に関する条項を定めなければならない(第167条第1項第1号)
- 株式の消却、資本金の額の減少といった行為は、更生計画の条項で定める(第174条第1号・第3号)
- 異なる種類の権利を持つ人の間では、権利の順位を考慮して、更生計画の内容に公正かつ衡平な差を設けなければならない。順位は、更生担保権、優先権のある更生債権、それ以外の更生債権、約定劣後更生債権、残余財産の分配に優先的内容を持つ種類の株式、それ以外の株式の順(第168条第1項・第3項)
条文が決めているのは、「順位を考慮した差を設ける」までです。100%減資にするかどうかは、各会社の更生計画で決まります。
そのうえで、JALについて資料が示している事実は次の2点です。
- 国土交通省の資料の図は、2010年3月末の債務超過を9,592億円としている
- 更生計画で、株主責任の明確化として既存株主の全株式を無償取得して消却し、金融機関も一般更生債権の87.5%(5,215億円)を放棄した
つまり、株主の株は全部消え、債権者も債権の大部分を放棄しています。会社を再建するために、株主と債権者の両方が権利を失った、というのが資料の描く形です。
(推論)債務超過は、会社の負債が資産を上回っている状態です。そこへ3,500億円の新しい出資を入れて再建するなら、既存の株に価値を残さず、新しい株に置き換える、という設計になったのだと僕は考えます。ただ、更生計画の中で、減資の割合をどう決めたかという検討過程は、確かめていません。
なお、条文の第166条第2項は、更生手続の開始のときに会社が債務を完済できない状態なら、株主は議決権を持たない、とも定めています。
会社は戻った。でも、株は戻らなかった
そのあとの経過は、次のとおりです。
- 2012年9月19日、JALは東京証券取引所第一部に上場した。売出し価格は1株3,790円(国土交通省の資料)
- 企業再生支援機構は、保有していた全株式を売却して、支援を完了した。株式の売却総額は6,633億円(同資料)。Aviation Wire は、機構が3,500億円の出資金を全額回収した、と書く
再上場した株は、2010年12月に消えた株とは別の、減資のあとに出された新しい株です。消えた株が、1株も戻ってこなかったのは、そのためです。
また、「同じ会社が戻った」とは、書きにくいところがあります。ja版Wikipediaによれば、旧日本航空は日本航空インターナショナルに吸収合併されて解散し、2011年4月に日本航空インターナショナルが「日本航空」に商号を変えています。再上場した証券コードは、旧会社の9205ではなく、9201です。動画が「同じ会社」ではなく「同じJAL」と言っているのは、このためです。
下がったのは市場全体か、この会社か
JAL株が消えた法的な根拠は、会社更生法に基づく更生計画です。2010年12月1日に100%減資が行われ、既存株主の全株式が無償で取得・消却されました(国土交通省の資料)。株価の下落率を市場全体と比べて決まったことではありません。株価の動きそのものは、この記事では確かめていません。
そのうえで、物差しとして日経平均(終値の価格指数)を見ておきます。
- 日経平均: 2009年1月5日(大発会)の9,043円12銭 → 2010年1月19日(更生手続の申立ての日)の1万0764円90銭(+19.0%)。上場廃止前の最終売買日2010年2月19日は1万0123円58銭で、2009年1月5日からは+11.9%。100%減資の日の2010年12月1日は9,988円05銭で、同じく+10.4%
- JAL株の株価: 同じ期間の終値の時系列を、確かな資料で取れませんでした。そのため、騰落率は載せません。日経平均と並べた比較もできません
世界の出来事と会社の出来事を、日付どおりに分けて並べます。並べるだけで、株価の動きの理由とは言いません。
- 世界の出来事: この期間(2009年1月〜2010年12月)に載せる世界の出来事は、選んでいません
- 会社の出来事: 2010年1月19日、日本航空が会社更生手続の開始を申し立て、東京証券取引所が上場廃止を決定。2月19日が最終売買日、2月20日に上場廃止。11月30日に更生計画が認可され、12月1日に100%減資
- 会社の出来事(続き): 同じ12月1日に、金融機関も一般更生債権の87.5%(5,215億円)の債権放棄を実施
こうして並べると、0円になった時点(2010年12月1日)は、会社の更生手続の中の出来事です。日経平均は、この日も2009年の初めより高い水準(+10.4%)でした。「0円になったのは市場全体の下落ではなく、会社の更生手続による」とは、資料の範囲で言えます。ただ、JAL株の株価そのものがどう動いたかは、この記事では確かめていません。
動画の問い「なぜ100万円は0円になったのか」へのまとめ
動画は最後に、「同じJALが戻ったのに、なぜ株主の100万円は0円になったのか」と問いました。この記事の答えは、2段になります。
- 事実:2010年12月1日の100%減資で、既存の株はすべて消却された。同時に、金融機関も債権の87.5%を放棄した。2012年に再上場した株は、別の新しい株
- 仕組み:更生計画で、株主の権利の変更や株式の消却を定める。条文は順位を考慮した差を求めるだけで、0円になるかどうかは計画の内容で決まる
ただ、「JALが戻ったのだから、株主にも何か戻るべきだった」「いや、この仕組みなら当然だ」といった評価は、この記事では書きません。仕組みの説明までにとどめます。
この記事で扱わなかったこと
- 2009年初から最終売買日までのJAL株の株価と騰落率:確かな終値の資料が取れなかったので、出していません
- 預金との比較:確かな数字が資料に無いので、出していません
- 損失を譲渡損失として申告できる条件などの税の話:大和総研のレポートにありますが、個別の事情で変わるので、扱いません
- 「優良株だった」という評価:英語版の引用表現のみで、確かな根拠が無いため
出典と、その格
出典の格は、一次(当事者・官公庁の資料・法令)、二次(報道・調査機関)、三次(Wikipedia などの要約)で書いています。
一次
- 日本航空「上場廃止後の当社株式の取扱いについて」(2010年2月17日):上場廃止日2010年2月20日、最終売買日2月19日、株券は発行しない、株は証券保管振替機構での取扱いが続く。JALのページ自体は403で開けず、Internet Archive の保存版(Wayback Machine)で本文を確認(2026-11-08 確認)
- 国土交通省航空局「日本航空の再生について」(資料2-1):2010年11月30日の更生計画認可、12月1日の100%減資(資本金2,510億円)・機構の3,500億円出資・債権放棄5,215億円(87.5%)、合併後に既存株主の全株式を無償取得して消却、2010年3月末の債務超過9,592億円(図の数値)、2012年9月19日の上場と売却総額6,633億円。関連資料のもう1つのPDFでも、債権放棄と全株式の無償取得を確認(2026-11-08 確認。この記事の「追加」にあたる部分です)
- 企業再生支援機構「日本航空に対する支援決定について」(2010年1月19日):「いわゆる100%減資を含む抜本的な株主責任を果たす措置を講じる方針」「最終的には、今後の更生計画において決定される」(2026-11-08 確認)
- 会社更生法(e-Gov法令検索):第166条、第167条、第168条、第174条の条文(現行の条文を2026-11-08 に確認。2010年当時の条文との違いは確かめていません。この記事の「追加」にあたる部分です)
二次
- 大和総研「JAL上場廃止に伴う個人株主の税務上の取扱い」(2010年1月22日):2010年1月19日の申立て、同日の東証の決定、最終売買日と上場廃止日(2026-11-08 確認)
- Yahoo! Finance 日経平均(^N225)の日次終値:2009年1月5日、2010年1月19日、2月19日、2010年12月1日(Yahoo の chart API で取得。別系統の確認はできていません)(2026-11-08 確認)
- Aviation Wire「JAL、再上場」(2012年9月19日):2012年9月19日の東証1部への再上場、機構の全株売却と3500億円の回収(2026-11-08 確認。この記事の「追加」にあたる部分です)
三次(合併・商号変更の経過の補足)
- Wikipedia「日本航空」:全自己株式の消却と100%減資、機構の出資3500億円、再上場(2026-11-08 確認)
- Wikipedia「日本航空 (持株会社)」:2010年12月1日の吸収合併と解散、2011年4月の商号変更(2026-11-08 確認)
100%減資の日付・内容は国土交通省の資料(一次)で確かめました。三次の Wikipedia は、旧会社の合併・解散や商号変更の経過の補足に使っています。本文は Wikipedia(CC BY-SA 4.0)の記述を参考に、AI が下書きし、運営者が確認・編集しています。
動画
- JALは戻り、株主は0円のまま(YouTube Shorts)
- 歴史の「もしも」を、史実と仮説を分けて検証するチャンネル:@AI-historyIF
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